無類の食道楽小島政二郎は、うまい物に身も心も捧げた稀代の食通であった。納屋橋饅頭、麩嘉の笹巻き、名古屋流スキ焼、黄肌の鳥、桐正宗、ももんじ豊田屋といった逸話から、隠れた銘店、名も知れぬ小店の頑固親父のこだわりまで。鏡花、芥川、魯山人…といった文人との食の想い出に到る、味の文壇交友録。