本書は、先端的なグラフ理論の全体像を把握するために書かれた教科書である。どの章も、その分野で何が問題になっているのかがわかる導入になっており、その精神が丁寧に書かれている。また、形式的な証明を与える前に、その直観的なアイディアが示されており、理解を助けてくれる。特に、最終章には、近年のグラフ理論の1つの指導原理となっているRobertsonとSeymourによるグラフ・マイナーの理論がまとめられている。