魚が釣れるはずもない真っ直ぐな釣り針を水面の上に垂らし、幾日も川辺に佇む老人。周の文王は、その老人こそ先君の太公が待ち望んだ大賢人「太公望」と見抜き軍師とした。太公望は、比類なき軍略をもって、強勢を誇った殷帝国との戦いを勝利に導き、周に覇をとなえさせた。-後世、兵法の始祖とも称された太公望の、叡智にあふれた生涯を雄渾な筆致で描く長編歴史小説。