保元の乱前夜、爛れた世の病巣は、意外に深かった。院政という摩訶不思議な機構の上に、閨閥の複雑、常上家の摂関争いの熾烈、その他もろもろの情勢がからみあって、一時にウミを吹き出す。-かくて保元の乱は勃発したが、「皇室と皇室が戦い、叔父と甥が戦い、文字どおり骨肉相食むの惨を演じた悪夢の一戦」であった。その戦後処理も異常をきわめ、禍根は尾をひいた。