著者は年に2回、日建設計が開催している「都市経営フォーラム」で話を続けている。ここにおさめた文章の大部分は、10年来そこで話してきた内容に手を加えたものである。21世紀の始めである現在は、20世紀後半の半世紀に蓄積されてきた、都市計画不在の都市づくりを、本来は公と民の協力で改めてゆく時点である。しかし、我が国の市民社会の常識は個人と私有財産の絶対性を強く主張してきた。この現状をどう改革してゆけるのか、絶望と悩みのなかから、その答えを見出そうとしているのが本書の内容である。