母を知らず、愛を知らず、屹立する孤高。あれが、再び進化をはじめる、新しい人類の父。…なのか?熱海港から船で25分の距離に浮かぶ初島。その地下には、巨大バイオ企業「ESテック・ジャパン」の本社があった。医療・美容・環境にまつわる最新ビジネスの研究と並行して、ここでは多くの計画が進行していた。それは、人類の始祖・Y染色体アダムの正体を探ること。人々を植物化して環境適応させること。そして、ホモ・サピエンスではない、滅び去ったはずの人類の行方を追うこと。進化の果て、ヒトは、一種しかいなくなった。寂しくは、なかったのだろうか。