シベリア出兵から帰国して以来、無頼の徒となっていた松涛禎は、かつての恋人・綾乃から失踪した鍬形正吾の捜索を頼まれた。鍬形は同郷の戦友であり、松涛から綾乃を奪った男でもあった。複雑な思いで依頼を受けた松涛は何度も危機を潜り抜ける中、大陸に消えた父を捜す娘・小田桐千佳と出会う。鍬形が小田桐を追っていたという情報を得た松涛は、千佳を連れ厳寒のウラジオストクに渡る決意をする。だがそこはソ連軍と民族派武装集団、そして密輸利権を争う中国系組織と白系ロシア組織がそれぞれに熾烈な闘いを繰り広げる非情の地であった…。