ひとり息子の戦死を機に、こころを閉ざしたユダヤ人女性ミリアム。地域医療につくそうと、アラブ村をとびだした医学生ハミッド。ふたりを結ぶ接点は、どこをさがしてもなかった。不動産屋の紹介で、ハミッドがミリアムの家を訪れるまでは…。運命のいたずらは、ふたりを思わぬ共同生活へとみちびき、ミリアムはひとときの平安を得る。だが、ガラス細工のような日々が長く続くことはなかった。折しも燃え上がろうとする戦火が、ふたつの民族を分かつように。