1901年生まれの長命はユダヤ系哲学者カール・ポパーは、「現代哲学者叢書」にもとりあげられ、ゾニング賞・カタルーニャ国際賞受賞に輝く、現代ヨーロッパ文明のすぐれた貢献者である。生誕80年、85年を記念して二つの記念論文集が出版され、またポパー自身の草稿も次々と公刊され、ようやくその全体像が明らかになってきた。物理学・生物学・心理学・論理学などの各領域をふまえての視野の広さに現代哲学の健全さの一端をうかがいうるであろう。