『俘虜記』『野火』で知られる著者が、自身の戦争体験を語る。数々の小説とはまたちがった、作家の雰囲気が漂う著作である。「なにか事があれば、ひどい目にあうのは、またもやわれわれ国民ではないのか。」軽妙な語り口の裏側に、戦争への激しい思い、埋み火のような執念がゆらめく。文庫初収録の作品。