池辺陽は、戦後モダニズムの精神を最も純粋なかたちで生き抜いた建築家である。本書はその評伝であるが、同時に池辺という座標軸によって測定したわが国戦後モダニズム建築の歴史だといってもよい。池辺の再評価を通して、われわれが「過去から受け渡された状況」とは何かを問い直し、そこに潜在する現代的な「可能性の中心」を見据えようとする。