仏教の根底という発想が浮んだのは、いつごろだったろうか。大学に入って仏教の講義を聞いたときにさかのぼるように思う。親鸞の生き方には多少のなじみはあったが、仏教に触れたのは大学で初めてだった。それ以来何十年、仏教各派の領域に踏みこみ、さまざまな試行錯誤をかさねて、還暦近くなってやっとブッダの目覚めに出会ったのである。形なきいのちが顕わになってくる、と。仏教の根底がほのかに見えはじめてきたのである。