30歳で一躍トップの座に踊り出た道長は、兄道隆の子伊周の排撃にも成功した。そして娘の彰子を一条帝に入内させ、やがて待望の男子が生まれる。かくて一手に権力を握った道長は、抜群の平衡感覚で時代を乗り切り、"望月の世"を謳歌する-。"権力の権化"という従来のイメージではない、人間味溢れる平凡な男としての藤原道長を描き出し、平安貴族社会を見事に活写する歴史長編。