脳死や臓器移植をめぐる論議は、科学的な観点に依存するあまり、日本人の伝統的な身体観念との接点を失った。愛する親族の遺族を物質的に扱われることを厳然と阻む日本人の心性とは?医療を文化人類学のフィールドとして捉え、現代医療が見失った日本文化の独自性を明らかにし、混迷の中に新しい視座を提示する快著。