民俗音楽が記譜法を前提としない即興の音楽、演奏者の音楽であることを確認し、その認識のもとに、1920〜30年代のジャズの音楽言語を,リズム,旋法,和声,バンド編成の水準から記述する。聴覚印象のみによる憶測や安直な思弁を排した実証的な記述は、ジャズの中に混在する黒人的な成分と雑種的な成分、商業的な成分の判別を可能にするとともに、それぞれの成分の起源にさかのぼり、因果関係を把握するための指針を与える。