関西の最大手・大淀銀行の株主総会で、自他ともに辣腕家と認める土肥幹夫が、47歳の若さで筆頭取締役に指名された。最年少重役の誕生である。しかし-会場の女性株主から「重役の中に不適任者がいる!」との声が上がった。土肥の不倫を暴くこの発言で、昇進の梯子を快調に昇りつめてきた25年の努力は、あっけなく崩壊した…(「最年少重役」)。一寸先は闇のサラリーマン社会の非情を描く8篇を収録。