江戸の街の真っ昼間、三千両の小判が馬の背で砂利に化けた。江島屋が大黒屋に送った破格の結納金三千両。馬の前後に三人も付き添っていながらの椿事に、纏まりかけた縁談も滅茶滅茶。このままでは、大黒屋の主人は首でも縊りかねない。三千両はどこで誰が入れ替えたのか…。表題作「結納の行方」など十編を収録。