子供の頃から聞きおぼえ、生活の中に生きている歌舞伎・新派など心に残るセリフ120を役者の魅力を通して語りかける名随筆。歌舞伎の名セリフは聞いていて心地好く、役者の口跡とともに忘れがたい。「月も朧に白魚の」など七五調のセリフを駆使した河竹黙阿弥はことばの綾を最も楽しんだ作家。また役者のいい声が名セリフという印象を残している例も少なくない。