本全集は、稲垣足穂自身が昭和四十三(一九六八)年に作成した目録を基本に編んだものである。本巻には足穂が昭和七年明石に帰省し、その後昭和十一年末に最後の上京をして牛込横寺町に住むようになった、三十代から四十代はじめまでの時期を扱った自伝的作品を収録した。