鳥羽・伏見に発した戊辰戦争は、東国に戦場を移して各地に惨劇をもたらした。その波浪厳しいなかで誕生した明治新政府は、多くの矛盾を抱えつつ、近代化に向かって突き進む。しかし、性急な近代化は、日本興隆の道筋を作ったものの、伝統的美質の無惨な破壊、社会システムの歪みなどのリスクをも背負うことになる。本書は、内紛と騒擾の果てに勃発した近代最大の内乱・西南戦争に至る経緯を辿り、近代日本の原点を再検証する。