日露戦争直後、東京市の警察署の八割が襲撃される日比谷焼打事件がおきた。だがわずか十数年後、関東大震災では「自警団」が登場し、民衆はすすんで「治安」に協力する。この変化は何を意味するのか。「民衆の警察化」が典型的に押し進められた大正デモクラシー時期を中心に、社会生活のすみずみにまで及んだ「行政警察」の全体像を解明する。