後醍醐天皇寵妃の阿野廉子、悲劇の佳人後深草院二条、「尼将軍」北条政子、ならびなき権勢を誇った日野富子、秀吉の糟糖の妻ねね、等々-中世を彩った女性群像をちりばめつつ、公家・武士・庶民の妻そして尼僧の姿を描きだしていく。母性・家政・性愛をめぐって縦横に展開される数々のエピソードはまことに興味深い。