嘉永二年(一八四九)、とある村で一人の無宿人が殺された。勘定奉行までが乗り出す大事件に巻き込まれ、裁判に奔走する村名主。その活躍を通して見える幕末期江戸の姿とは?暗躍する用人たち、官官接待の実際など、名主が残した日記や多くの周辺資料を駆使して、当時の社会の仕組みや、その中でうごめく人々の様態を活写する。