万葉集の歌を中心に読み解きながら、当時の恋愛生活のさまざまな具体的ルールを発見する試み。出会いや逢引の場所、通い道にはきまりがあり、昼間の逢引は禁忌であった。共寝には一定の手続きが必要とされた。それぞれには、古代人の世界観にもとづく理由が存在していたことも明らかにされる。古代文学研究の新しい旗手が、近代的感性からの類推を排して、歴史学や民俗学の空白領域にきりこむ。