香具師の口上が盛り立てる祭りの賑わい、欲望うごめく夜の歓楽街。そこに通いつめる人がいて、そこを仕事場とする人がいる。伝統的な盛り場が消えつつある今、長年の民俗調査にもとづき、その空間を鮮やかに分析し、歴史的な歩みを明らかにする。江戸から現在まで続く稀有な盛り場、上野広小路を主舞台に、哀歓こめて描く聞き語りの世界。