日本人は日常の暮らしの中で、春夏秋冬という季節に向けての対応と、二十四節気に基づく暦の上での時候表現とを矛盾することなく巧みに受容している。それは太陽暦による生活を営む一方で、旧暦の季節表現を書簡・和歌・俳句や時節の挨拶に取り入れていることからも頷ける。それでは古代人にとって四季とはいかなるものだったのか。旧暦のもとで執務・生産し、また消費する現場を史・資料に探り、季節・時候との関わりを描く。