私は定職を持たず、逗子の古いホテルに宿賃滞納のまま暮らしていた。ある日、電車の中から××義肢製作所という素人くさい手書きの看板を目にする。無為な毎日と重ね、宙ぶらんな感じがして気になった。二十年後、大学の野球部で同期だったYが自殺したと聞き、その奇妙な感情を思い出す。死体には右足がなかったという-表題作。全十話からなる伊集院文学のエッセンスを凝縮した珠玉の短編集。
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