労働者に対して多様な就業機会を提供し、その能力・意欲に的確に報いることは、公正で活力ある社会にとって重要である。しかし、現在の雇用法制では、解雇や雇い止め問題などで、法や判例が雇用契約の継続を企業に強制させることが常態化している。弱い立場にある労働者を「保護」するためにこれらの法や判例が必要であるというのが「通念」として流布しているが、本当だろうか。本書は、このような問いかけに答えて、格差社会問題と雇用法制との関わりを中心に、「法と経済学」によって、通念の裏にある真実を多角的に抉り出そうとした試みである。