二月革命によるツァーリズムの終焉は、ロシアの社会秩序を急激に崩壊させた。政治上層部の暗闘をよそに、市民生活の安寧に影響の深かった旧警察権力は瓦解し、様々な犯罪、社会病理が噴出する。本書は、1917年3月から18年5月に至るペトログラードの市民生活を、「低俗新聞」の社会面に載った記事によって再現する、初めての試みである。政治によって社会が動かされ、社会が政治に影響していく歴史の全体像が活写される。