信長から贈られた『洛中洛外図』を前に、謙信は自問自答していた。「おのれ信長め、わしにもう上洛せずともよいと言うのだな。都は自分が取り仕切るから、わしにはこの絵を見て我慢していろと言いたいのであろう。そうはさせぬぞ!」-あの信長でさえ怖れた天才・謙信は、実は短慮な性格で、部下の統率が苦手だった。ひたすら正義のために戦った希有の武将を内面から赤裸々に描く。