『アメリカ文学界の魔犬』と呼ばれるこの作家を育んだのは、ありきたりの文学修行ではない。十歳のとき起きた陰惨な事件が、この稀有な才能の源となった。1958年6月22日-何者かに実母を殺害されたのだ。崩壊家庭で育ち、母を増悪し、母を欲した少年は、心に暗いトラウマを抱え込み、狂いはじめる。犯罪、薬物、妄想-そして現在、地獄の底から生還し、アメリカを代表する作家となった男は、欲望と頽廃の街LAへ帰る-母を殺した男を探すために。母の秘密を暴くために。母を愛するために。本書はその全記録、母への狂おしい愛を刻みこんだ鎮魂の書である。