第2回小説現代長編新人賞受賞作
「選考者の立場を忘れて夢中になって読みふけった……の一言だけで選評の任は果たしたようなものである。物語の開き方、ふくらませ方、閉じ方、いずれもみごと――特に一件落着のあとに、さらにもう一回り物語の柄を大きくしてくれるエピローグの置き方には舌を巻いた」――(重松清氏 小説現代長編新人賞選評より)
江戸の歌舞伎小屋「森田座」の若手役者・梅村濱次は、一座きってのおっとり者。ある日、道端で見知らぬ娘から奇妙な朝顔を預かった。その朝顔が幽霊を呼んだのか、思わぬ騒動を巻き起こす。座元や師匠、茶屋の女将まで巻き込んで、濱次の謎解きが始まった。ほのぼの愉快な事件帖。