武勇すぐれた伊那丸主従であったが、その軍備も蟷螂の斧に以て、最後の砦、小太郎山も敵手に陥ちた。平和な緋おどし谷に乙女らは胡蝶の陣を組む。そして舞台は、甲斐から武蔵へ-。御岳山上の兵法大講会に、武田一党は如何なる波瀾を呼ぶか?この小説の楽しさの一つは、読者の空想を羽ばたかせることである。例えば、読者みずから竹童、蛾次郎とともに、鷲のクロに乗ることも…。