町方に包囲されながら捕縛をすり抜けた三人の賊が、呉服屋の手代二人を殺し、店に立て篭もった。非番の日で、偶然店の前を通りかかった南町奉行所の当番方与力・栗原平之助と娘の美耶。客と主従の窮地を見かねた美耶は、身重な人質の身代わりを申し出る。だが、女を楯にまんまと逃げうせた賊は、足手まといになる美耶を慰みものにした後、殺そうと牙を剥く。愛娘の救出に単身立ち向かう平之助と、凶賊を前に気丈に振る舞う美耶の命運は!?書き下ろし時代小説。