戦国の荒波に敗亡を余儀なくされ、一族離散の憂き目を見た若き日-奇しくも同様の生い立ちを背負った男と女の出会いは、秀吉とおね、利家とまつに比肩される夫婦二人三脚の成功物語をつむぎ、後世に語り継がれた。無骨な槍一筋の功名に生きる山内一豊と、独自の才智で夫を支え続けた千代。夫と妻の細やかな心の交流を描きながら、乱世に苦闘する人間模様を活写した力作。文庫書き下ろし。