「へえ、おまえ、話わかるんだ。いいもの好きじゃん。」意外にも、ささ竹はにやりと笑った。初めての笑顔だ。「おれ、竹が好きなんだよ。竹に囲まれていると、ほっとするんだ。」ささ竹はふっと、なつかしげに中庭の竹をあおいだ。その横顔がなぜかさびしげに見えて、思わずどきっとした。さっきまでの人を射るようなひとみは、かげをひそめた。ほんとうにささ竹になってしまいそうだ。「ところでおまえ、昼間っからなにしているんだ?」次の瞬間、ささ竹はわたしを見すえると、痛いところをぐさっとついた。わたしはあわててうつむいた。小学5年生以上向け。