「死すとも思いのこすことなし、わが赤ん坊の他には」一九二〇年代、巴里。夫に伴われた留学先で子どもを身ごもるが、結核に倒れる伸子。病床にあって娘に宛てて綴った三冊のノートをめぐって、死と新生、自然の摂理と普遍の愛を描く深遠なドラマが展開する。