沢田将、15歳。親父は死んだお袋の妹と再婚し、兄貴は五反田に一人アパートを借りて司法試験の勉強をし、今の母親は、おめでた…。普通の家族のようで、実は複雑だ。学校では"オレンジグループ"を名乗り、裏門から5分の大衆食堂・藤丸でうだうだしている。僕、岡崎、笹本、コンドー、真弓、あかね、雪子、かよ子の8人。違う個性が心地よかったのに、ふとしたきっかけで分裂してしまった。好きになったり失ったりで僕らは勉強する間もないくらいに揺れていた。人生で最も不安定な季節を、みずみずしく描く、著者初の長編小説。