幕末の蘭学者、高野長英は、「蛮社の獄」で渡辺崋山とともに罪に問われ、脱獄そして自刃という数奇な運命をたどった先覚者として知られる。しかし、長英は何より学問の人であった。著者は、長英の軌跡をたんねんに検証し、強烈な自我を貫きつつ、新たな学問を切り開いた長英の人間像をみごとに浮かび上がらせる。最新最良の評伝。