本書は、『エセー』の範囲と目的を再吟味して、モンテーニュが自らの憂うつ気質の舵をいかに取って、適切な心理的水路にみちびき、肉体と精神のバランスをもとめつづけ、詩人タッソのような天才にも影響をおよぼした狂気を回避しようとしたか、それを説得的に示してくれる。