ヒトラーを操縦して、ドイツの国家権力を握った瞬間、逆にヒトラーに支配されることとなった国防軍。ニュルンベルク裁判の、イギリス代表団に随行した経験のある歴史家が、第一次世界大戦の敗北から、1944年7月22日のヒトラー暗殺計画失敗に到る、国防軍とヒトラーとの関係を詳述する。第1巻は1918年11月から38年2月まで。ゼークトやシュナイヘルが国防軍をどのように指揮し、ワイマール共和国とどのような関係を築いたのか、また共和国崩壊に責任を負っているのか、を描写する。第二次世界大戦後の歴史における、軍隊のあり方と政治のあり方との関連という、いまだに解決のつかない問題にも光を投げかける大著である。