教育史研究はドイツにおいても、日本におけると同時に長きにわたって教育理念と教育制度史という二つの領域にかたよりを見せてきた。本書の問題関心は、いうまでもなく中等教育史一般ではなく、ギムナジウムというドイツ・エリート中等教育の歴史にあり、「近代ドイツ=資格社会」というフレームワークのもとで、アビトゥーアとその授与機関=ギムナジウムの歴史的世界への教育社会史的アプローチを試みる。