今日のグローバル化はわれわれの生活世界を大きく変えつつある。同じように、近代化は100年前、西洋社会に大きな変動をもたらした。これに対して、人々は社会的・文化的にいかなる応答をしたのか。本書は、帝政ドイツを例にそれに大胆に答えたものである。本書は、原理主義という概念を使って、反ユダヤ主義など急進民族主義と、菜食主義・自然療法・ヌーディズムなどの生改革運動を一括して把握しようとする。通例、対極的に捉えられがちなこの二つの思想・運動の同根性を剔抉しつつ、これを世俗化の空隙の中で生じた一種の宗教的復興現象と捉えるよう提唱している。現代の環境保護思想までも視野にいれつつ、西洋近代の歴史像に大胆な問題提起をする画期的な研究である。