東日本大震災をきっかけに、詩人でもある著者が日本現代詩歌文学館の協力をえて、大船渡市の仮設住宅等をまわり、石川啄木の短歌100篇を土地ことばに訳すプロジェクトを2年間、9回にわたっておこなった成果。
高齢の女性(土地ことばで「おんば」)たちによる東北弁(とりわけケセン語)への翻訳は、啄木のオリジナル作品がどれほど土地ことばに根づいていたかが、おんばたちの豊かなユーモア感覚とともに解釈され、復元される。消えゆこうとするケセン語の使い手による朗読の音声を本書内のQRコードによって再現するリンク付き。文字と音声による啄木短歌のリアリティを新たに呼び起こす。