原書は1989年刊。現在は人種問題や民主主義に積極的に発言する知識人として知られるウェストの、初期の学術的専門書。パース、ジェームズ、デューイ、ローティなどのアメリカを代表する知識人たちの言説を系譜学的に整理し、プラグマティズムに流れるヨーロッパ哲学回避の知的伝統がエマソンに由来することを明らかにする。エマソンやローティらの人種問題・政治参加への問題意識の希薄さを批判し、政治参加に積極的な哲学として「預言的プラグマティズム」を掲げるなど、ウェストの現在の知的関心が萌芽としてあらわれている著作。