21世紀の歴史学はどうあるべきか。その答えを、その可能性を、古代ギリシアにさかのぼり、ペルシア戦争、ペロポネソス戦争を見据えた二人の歴史家と対話しながら考えていきたい。のちの歴史家たちが非難したようにヘロドトスはほんとうに「嘘つき」だったのか。史料批判において厳密だったといわれるトゥキュディデスは、ほんとうに「事実」だけを記録したのか。歴史叙述が歴史学へといたる端緒を探る。