人権に関しては、それがなんであり、時代環境のなかでどういう機能を有するかまでは、長らく問われてこなかったように思われる。けれども、時代は基本的人権の光の部分も影の部分もともに視野に入れなくてはならない、複雑で困難な段階に達している。本書はこのような問題意識に立ちながら、基本的人権について、理論的な考察を加えつつ、できるだけ簡潔に概説しようとしたものである。