「新しい公共性」とは、どのような形、どのような内容をもつものか。まともな社会が存続しうるためには、時代にふさわしい「公共性」が構築されねばならない。にもかかわらず、わが国では現在、「官」による「公共」の独占が大きく揺らぐ一方、それに取って代わるべき「市民的公共性」もなお未成熟で、政治・社会・経済の諸領域から「公共性」を問う緊張感が失われてしまった観がある。「新しい公共性」はいかなる内容・手続きによって形成されるべきか。そこでのフロンティア、とりわけ芽生えつつある新しい動向を解明し、人文・社会科学諸領域からの解答を試みる。