1960年代…。自治体には、公害と自然破壊の嵐が吹き荒れていた。発展という一点のみを目指した自由奔放な経済活動が、生命・健康そして自然環境・生活環境をむしばみ、その深刻さを前にして、自治体は、ただ立ちすくむに近い状態であった。それから、30年…。全国の自治体を激しく巻き込んだ「環境の波」が、今度は穏やかな形で、再び訪れているようにみえる。自治体環境行政は、どのように発展してきたのだろうか。そこで用いられる行政手法やその枠組みには、どのような特徴があり、実際には、どのように解釈・運用されているのだろうか。それは、なぜだろうか。それは、適切だろうか。解釈論的・法政策論的には、どのような改善が可能だろうか。環境管理に関する新たな理念を実現する法システムとは、どのようなものなのだろうか。自治体環境行政をめぐる論点は尽きない。本書は、「自治体環境行政の法と政策」と題して自治実務セミナー誌上に1994年4月〜96年3月の2年間にわたり連載したシリーズに、多少の順序の入替えとその後の情報や検討を踏まえて、加筆・修正を施したものである。