見本の詰まった鞄を提げて、商人宿を渡り歩く外交員が、得意先で知り合った男と、銀行強盗を働いた。商売の元手となる大金を手に入れた二人は、連絡を断ち、それぞれに人生の成功者となるが、その一方が、古傷を知る「共犯者」の存在を不安に感じて動いたことが、思わぬ蹉跌を招く表題作。短編全集の掉尾を飾る「清張文学」の精髄八編。